2020年(令和2年)度 京都公立高校 中期選抜 入試問題 概評
本日、3月6日に公立入試中期選抜が行われました。ここでは、数学の問題を見ていきたいと思います。
※問題、解答は以下でダウンロードできます。
全部で大問6問、それぞれの内容は以下のようになっています。
1.小問集合です。それぞれ小問は以下の内容になっています。
(1)正負の四則計算
(2)文字式の計算
(3)平方根の四則計算
(4)連立方程式の解を求める(加減法)問題
(5)一次関数のグラフを書かせる問題
(6)平方根の大小関係の問題
(7)円周角の問題
(8)標本調査の問題
2.「確率」2個のサイコロの問題です。
3.「二乗に比例する関数」「二次方程式の利用」の問題です。
4.空間図形を利用しての「図形と相似」「三平方の定理」の融合問題。平行線と面積(等積変形)についても問われています。
5.4.に続いて図形問題です。「平面図形(等脚台形)を使っての求積問題」です。
6.はおなじみの規則性に関する問題ですね
以上が、各問題の大まかな内容です。
では、もう少し詳しく見ていきましょう。
1.は基本レベルの問題が並んでいます。必ず全問正解しておきたい問題ばかりですが、特に(1)~(5)は絶対、目をつむっていても解けないといけません(それは無理か(笑))。(6)は単純な計算問題ではありませんが教科書の章末問題に出てる問題です。落とすわけにはいきません。(7)の円周角も『半円(直径)に対する円周角が90°』がすぐに思い浮かぶ人は1本の補助線を引いて楽勝に解けるはずです。(8)は珍しく標本調査の問題ですが、それがわかっていなくても比例式さえ理解していれば問題ないので大丈夫だったでしょう。
2.はサイコロ2個をふるタイプの問題ですが、焦ってしまうと、どう手を付けていいのかわからなくなって諦めた人も多いのではないでしょうか。(1)は1回目の操作が終わった後、Gは必ず下から6番目にあるのがわかれば、1回目のサイコロの目の数にかかわらず、2回目は6が出ればいいことがわかります。(2)もEは最初下から5番目の位置にあるので、1回目がEより下を動かす1から4の目が出た場合とEの上を動かす6が出て場合に分けて考えればいいわけです。あとは2回目に出る目をていねいに(わかりそうになった時ほどていねいにね)数えていきましょう。
3.今回はグラフの問題が小問の1の(5)の一次関数のグラフを書かせる問題だけでした。この3も「二乗に比例する関数」の単元で学習するのですが、どちらかといえば「二次方程式の利用」に重きを置いてる問題になっています。「関数」分野が得意で頑張って勉強した人にはちょっと、残念な出題内容だったと思います。
(1)は時間、長さのどちらがxでありyであるのかに注意して解いていけば、全く楽勝な問題です。
(2)先ほども書きましたが「二乗に比例する関数」の問題とは考えずに「二次方程式の利用」の問題と考えてとかなければいけません。求めたいもの(ここでは振り子Aの長さですね)を文字でおくと式を立てにくいので、関数のXにあたる振り子Aの1往復にかかる時間を文字において、振り子の長さから式を立てる必要があります。そこに気づけば、解答までたどり着くはずです。
4.は空間図形を利用した問題です。(1)(2)ともに非常に基本的な問題です。(1)三平方の定理を知っていればできます。(2)二等辺三角形の面積の求め方、三角錐の体積の求め方を知っていればできます。図形が苦手な人も苦手意識を持たずに取り組めば解けたはずですよ。
(3)は難しい問題ですね。これは、平面図形なら「底辺比=面積比」空間図形なら「底面積比=体積比」というレベル少し高めの良く入試で出題されるパターンを知っていれば、解答への糸口は見つけられたかもしれません。全体の三角錐ABCDと問題になっている三角錐AQPDを三角錐D-ABC、三角錐D-APQというように見られるかがポイントです。すなわち、頂点Dで底面を△ABC、△APQと考えれば、底面は一つの平面上にありますので高さがおなじになり△ABCと△APQの面積の比が体積の比となるわけです。また、△ABCと△APQは相似になりますので面積比がわかれば辺の比も出ますので、APの長さもわかり何秒後かの答えもわかるわけです。
5.は「平面図形」の問題ですが、3年生の「平方根」の知識がなければ解けません。
(1)BCの長さは三平方の定理ででます。これで直角三角形のすべての辺がわかりますから相似からでも面積からでもAとBCの距離は出ますね。ADの長さは等脚台形であることがわかればAとDからBCに垂線を引けば、合同な直角三角形2つと長方形に分かれますので求められます。
(2)はAからBCに垂線をひいて相似の比から出しましょう。
(3)は4(3)と同じ少し難しい問題です。いろいろな解き方が考えられます。ここで思い出してほしいことは、中期選抜の時にも書きましたように、大問で前の問題は次の問題のヒントになっているということです。そこから考えると、(1)で求めたのは△ADCのズバリ底辺と高さだったわけです。そして(2)で求めたAG:GCはAC:EG を求める布石です。AE:EC=AD:BCから求めるAE:ECを利用してAC:EGを求めます。この2つを利用すると、面積を求めるときに忘れてはならない頻出の「底辺比=面積比」を利用することができるとわかります。良い問題だと思いますが、解答へのアプローチが4(3)と同じだというのが残念ですね。別の解法を利用してた問題を出題してほしいところです。
6.は京都の公立入試の定番問題である規則性の問題です。
奇数番目と偶数番目を区別して考えればよいということがまずわからなくてはなりません。奇数番目が2乗(平方)の数になっているので、その数をnを使ってうまく表すことができるかがポイントでしょう。でも、それがわからなくても(1)は絶対に数えてでも正解するようにしてくださいね。
以上、簡単に各問題を見ていきました。
前期選抜と中期選抜のそれぞれの概評を書きましたが、中期選抜は図形で同じような解き方考え方をする問題が2問出たり、二乗に比例する関数の出題がなかったりと少し残念な出題委だったと思います。その点、前期選抜の方が考えさせる骨のある良い問題であったように思えます。中期選抜の方が前期選抜より簡単で平均点が高くなると思いますが、これは2つの選抜の性格を考えれば妥当であると思います。志望する高校にもよりますが、中期選抜では教科書レベルをしっかりとマスターして臨むことができれば、入試の得点としては合格圏内に届くと思います。
1年生は1(1)(8)解けます。
2年生は1(1)~(5)(8)、2は解けます。
がんばって解いてみましょう。
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